開業に必須なこと

開業に必須なこと

申請書類の提出

個人事業主というのは、一番初めにも記載しましたが、税をどう納めるか(収入をどう得ているか)で決まるので、税務署に書類を提出することで個人事業主として開業したということになります。一度提出したら、「廃業届」を提出するまでは、毎年、確定申告が必要になります。

余談ですが、知らなかったなどの理由で開業届けを出していない場合でも、個人で事業収入があれば1年間の所得が38万円以下でなければ、確定申告は必須になります。38万以下の場合でも、国民健康保険料が安くなる場合がありますので、確定申告はしておくほうが良いです。

さて、届出と言葉で聞いたり読んだりすると、難しい印象を受けますが、実際は開業することじたいは驚くぐらいカンタンです。審査もありません。

最低限1枚、おすすめは2枚、届出を提出するだけです。税務署に行って直接用紙をもらい、記載して提出するのでも良いですし、国税庁のサイトからダウンロードしてプリントアウトし、記載して提出に行くのでも良いです。

どのぐらいカンタンなのか、早速ながれや提出のタイミング、期限を見てみましょう。

必須の届け出は個人事業の開廃業等届出手続

開業するときに必ず必要になるたった1枚の書類は、「個人事業の開業・廃業等届出書」です。一般的には開業届などと呼ばれることもあります。

・個人事業の開業・廃業等届出書ダウンロード(国税庁サイト)
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/04.pdf

プリントアウトして記入し、開業する地域の税務署に提出すれば終わりです。繰り返しになりますが審査もありません。
青色申告をして税金の控除を受けたい場合は同時に「所得税の青色申告承認説明書」(次の項で説明します)も提出すると税務署への提出が一度ですむのでカンタンです。

手続き料 なし
提出期限 事業開始から1ヶ月以内(もし期限を過ぎてしまっても提出可能です)
提出方法 直接管轄の税務署へ持参するか、郵送する

屋号で銀行口座を作りたいかたは最初から同じものを2枚手提出すると、1枚控えとして返却してくれます。
郵送の場合は、自分の住所と氏名を書いて切手を貼った封筒を同封し、受理後に控えとして一通返送してもらえるように手紙を入れます。

【書き方例】

届出書の記入はカンタンですが、多くの人が迷いやすいポイントが3つほどあります。以下説明します。

【記入の3つのコツ】

・(1) 職業欄
分りやすく書いてあればよいようです。 どうしても迷ったら日本標準職業分類(総務省統計局) http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/shokgyou/kou_h21.htm を参考にするのもヒントになりますね。
・(2) 屋号の欄
決まっていれば記入します。なければ空欄で構わないです。後から決まった場合や変更する場合も修正して提出する必要もありません。 注意としては、個人事業主の場合「株式会社」や「法人」などの名称を屋号に入れてはいけないということです。 屋号は何でもいいのですが、 同一住所、同一商号での登記は禁止されています。

また名称がとても重要になる場合は、商標も確認しておくのをおすすめします。
「特許・実用新案、意匠、商標の簡易検索」(独立行政法人工業所有権情報・研修館サイト)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
※これで調べた結果、かぶるものがなければ問題ないと保証するものではありませんので、厳密に確認したい場合は専門家に相談するのがおすすめです。

・(3) 事業の概要
事業としていく内容を具体的に記載すればOKです。厳密に書く必要はありません。 また書いたとおり厳格に事業を行わなければいけないというものでもないようですが、税務署員が「事業とかけ離れている」と思う経費などが含まれていると税務調査の時につつかれるので、事業の幅は広くカバーできるように、事業内容はあらかじめ広く書いておくこと、最後に「およびそれに付随する業務」などの一文をつけておくのが一般的なようです。 複数行う場合は全て記載しておくと良いでしょう。 事業所得が290万円を超えた年は納税するときに個人事業税がかかり、業種によってその税率が変わるのでその判断や、経費等として認められる内容かどうかの判断に必要なのだと思われます。

上記を参考にしていただいても判らないところは空欄にしておき、提出前に税務署の窓口のかたに質問すると丁寧に教えてくれます。

所得税の青色申告承認申請手続

税務署へ所得と納税額を申し出るための申告方式を青色(税金控除があり10万円のものと65万円のものと2種類から選べます)にするための申請書です。

・所得税の青色申告承認申請書ダウンロード(国税庁サイト)
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/09.pdf

こちらは開業届と違い、税務署の審査がありますが通常は出せば承認されます。却下される場合だけ12/31までに通知があります。なければ承認されています。ちなみにこれが承認されていないと青色申告での確定申告ができません。

手続き料 なし
提出期限 青色申告をしようとする年の3/15まで。1/16以後に事業開始などの場合は事業開始から2ヶ月以内。提出期限が土・日・祝日になる場合は翌日が期限になります。 期限を過ぎてしまったらその年の確定申告は白色申告で行わないといけません。
提出方法 直接管轄の税務署へ持参するか、郵送する

【書き方例】

代表的な記入例と書き方の例

(1) 国税庁サイト内の「国税局の所在地及び管轄区域」から、開業する事業所の管轄を調べて記入します
http://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/kankatsukuiki/syozaiti.htm
(2) 提出する日付を記入します。実際に提出する際に記入すると良いでしょう。
(3) 自宅開業の場合は住所地(住民票と同じ住所)、住所とは別に長期間いる場合は居所地、居宅とは別に事務所等を借りるなどして通勤している場合は通勤先を事業所として記入します。
(7) 印鑑を忘れずに!
(9) 具体的な事業の内容を記載します
(10) ない場合は無記入で大丈夫です
(11) 青色申告をし始めたい年度を記入します
(12) 自宅開業の場合は名称はなしで住所のみ記入、支店などがある場合は支店名と所在地を記入します
(13) 個人事業の場合は事業所得に○をつけます
(14) 初めての場合は 無 に○をつけます
(15) この開始日から2ヶ月以内に申請していなければいけません。
(16) 親からなどの事業を受けついでいる場合は有り、自分が起業したのであれば 無 に○をします
(17) 控除額を65万円にするためには、簿記方式を複式簿記で選ばなければいけません。手間がかかるのですが、会計ソフトを使用することでかなり軽減でき、控除額が大きくなりますので、複式簿記を選ぶのをおすすめします。次の「帳簿の準備」や「開業後」カテゴリーの「経理」のページも併せてご参照ください。
(18) 現金出納帳、総勘定元帳、仕訳帳、預金出納帳などが代表的ですが、自分に必要なものに○をします。提出時点での申告なので、実際に事業を始めて使いやすい帳簿を追加したり、使用しなくなっても大丈夫です。

開業に必須なことまとめ

開業に必須の実際にやってみると、屋号や職業欄、事業の概要などで悩まない限りは、事業をスタートする記念の日としては物足りないほど、あっと言う間に終わります。必要な届け出は忘れず行っておきましょう。