個人と法人、どちらでの起業を選んだほうがいいのか比較検討する
個人事業主として事業を起こす場合と、法人として起こす場合、両方のメリット・デメリットを比較して決めるか、まずは個人事業主として事業を始め、後から法人に切り替える「法人成り」というステップを踏むか、ふたつの方法があると思います。ここでは、比較検討するためのポイントについて考えてみましょう。検討する時の3つのポイント
1. 個人事業主、法人それぞれのメリットとデメリット
個人事業主、法人それぞれのメリットとデメリットを簡単な比較表にまとめてみました。比較内容 | 個人事業主 | 法人 |
---|---|---|
設立のための費用 | 必須の費用はなし | 法人登記が必要となり、設立費用は約20万強 |
資金調達 | 法人と比べると手段は少なくなりがち。銀行の融資は難しいことがある。 | 銀行、日本政策公庫どちらも信用力は高く融資を受けやすい |
節税 | 手段は法人と比べると少ない | 個人事業主と比べると多くの手段・方法がある |
事業税 | 業種によって異なるが3~5% | 利益に応じて5~9.6% |
会計 | 法人と比べるとやや簡単 | きっちりとした会計が必要 |
社会的信用力 | 低い。個人事業主とは取引をしない組織もある。 | 高い |
人材募集 | 信用という点から法人と比べると集まりにくい | 信用力はあり集まりやすい |
給料 | 従業員に対して支払い可能 | 役員報酬など個人と比べて広く可能 |
社会保険 | 従業員がいる場合は必須、個人事業主本人や家族従業員は国民健康保険や国民年金に加入 | 会社は社会保険に入る決まりがあるため、役員、家族従業員を含め従業員も全員加入が必須 |
生命保険 | 最大10万円までの控除ができる | 控除の限度額はなし |
役員の退職金 | 事業主、専従者の退職金は損金に算入できない | 適正額なら損金として算入できる |
交際費 | 限度なし | 年間800万円までは全額損金とできる。超えた分は損金にならない |
旅費規程 | 不可 (個人事業主本人への出張手当・宿泊手当てや食費などは不可、 宿泊費・交通費の実費のみ経費として算入可能) |
可能 |
税理士費用 | 法人と比べれば比較的安価 | 費用は高めになる |
繰越欠損金 | 青色申告なら事業所得は3年、白色申告ならなし | 青色申告で9年 |
住民税均等割り | 税率の変化はなし | 利益がマイナスでも最低7万円の均等割りの支払いが必須 |
2. 個人事業主として起業し、後から法人成りする
まずは個人事業主として事業を起こし、節税や社会的信用面等で法人のほうが有利になった時点で、法人へと切り替える方法もあります。この、個人事業から法人へと切り替えるのを法人成りと言います。最初から法人として起業するよりは手間としては気軽に始められるケースが多いでしょう。
3. そもそも法律の規制がないか
また「個人事業主で独立できるか知りたい」でも触れましたが、・法人以外で行うことを禁止されている業務をしようとしていないか
という点も確認は必要ですね。