営業活動

個人事業主の営業活動

営業活動とは?

営業力というのは、別の言い方をすると「購入や申し込みをもらい続ける力」のことと言えると思います。継続して仕事がなければそもそも事業にならず収入が得られないので、これはとても大事な力ですよね。

個人事業主として開業するまえに営業をしていた場合は別として、そうではないかたもとても多いと思いますので、この営業活動についてちょっと考えてみましょう。

営業活動とひとことで言っても、ちょっと整理するとやるべきことが具体的になってくると思います。ここでは、営業活動の「場面」と「種類」の組み合わせと、共通の「流れ」に分類してカンタンに見てみたいと思います。

営業活動の3つの種類


ここでは、仮に「営業活動=購入や申し込みして頂く活動」と考えてみます。
この営業活動の種類の分け方は、お客さんの種別によって慣習や効果的な方法など特徴が違います。法人営業と個人営業などいくつかお客さんの分け方がありますが、共通するパターンは大きく分けると3つあると言われています。次の3つです。
・「新規」・・・始めて購入したり申し込んでもらう
・「紹介」・・・すでに購入や申し込みしてもらっているお客さんから知り合いへ紹介をしてもらう
・「リピート」・・・一度購入や申し込みしてくださっているお客さんが、再度購入や申し込みをしてくれる
お客様の種別で、アピールポイントやアピールの方法が違うことに注意しよう

例えば商品やサービスがいくつかあれば、全くの「新規」の人に魅力のある商品と「リピート」の人にアピール力がある商品は違う場合が多いですよね。また同じ商品でも、「新規」の場合にアピールするポイントと、「リピート」の場合にアピールするポイントや、接し方は変わりますし、「紹介」は紹介してもらいやすくする工夫も大切になると思います。

どの種別のお客様かによって、商品やサービスの魅力になる点(アピールポイント)や、対応の仕方の特徴が違うので、それぞれに必要な特徴に合わせてサービスや商品をアピールすることで、実際の購入や申し込みに繋げる割合を高くしていくことが営業活動のポイントのひとつかと思います。

利益がでる価格設定で、この3つのうちのどれかの形で購入や申し込みが続けば、(決済のタイミングや方法と割合などにもよりますが)とりあえず事業として続けていくことができることになると思います。

取り組む順番は?

これから個人事業主になる人は、まずは新規のお客さまを増やすことを重点的にとりくんで、次にリピートと紹介のお客様を増やしていく、という順番になる場合がほとんどだと思います。ですから営業活動も、まず一番最初は、新規のお客様に向けた活動から始め、気に入っていただけたらすぐに紹介やリピートになる可能性があるので、なるべく早い段階で紹介やリピートもして頂けるような仕組みやツールへと繋げてゆければ良いと思います。

営業活動の2つの場面


つぎに「場面」について考えてみたいと思います。

営業活動のきっかけになる、名刺、チラシ・パンフレット、ホームページ・ブログ・SNSなどのほかにも、例えばサンプルを作って配ったり、書籍を出版している人はそうした書籍が次の書籍購入やセミナー・レッスンに繋がるなど、いろいろな種類のきっかけから、営業活動に繋がると思います。また、教室の先生、セミナーの講師をしているかたなどは、関連する物販や別のレッスン・セミナーなどへの営業活動の機会も兼ねていると思います。

きっかけも多いほうがいいですが、大事なのは、実際の問合せ、購入・申し込みに繋がる「場面」なのですが、この場面もまた大きく分けるとふたつあると思います。
自分がそこに居合わせている「リアル営業活動」と自分がそこにいない「バーチャル(主にインターネット)営業活動」のふたつです。

リアルで申し込み・購入を受ける場合と、バーチャルな場面で申し込み・購入を受ける場合では、同じ営業活動の流れをすすみますが、その特徴には大きくちがいがあります。どちらの場面のお客様なのかによって、メリットを生かし、デメリットを埋め合わせる方法を考えることで、実際の購入・申し込みに繋がりやすくなります。

次に、どんな違いがあるなのか、メリットとデメリットに分けて整理してみたいと思います。

リアル営業活動
●メリット ・実際に会える人と直接顔を見て話せるので安心感や親近感を与えやすい ・相手に合わせた説明がその場の雰囲気や流れに合わせて臨機応変にすることができる ●デメリット 会えないとアピールできない。会える人が限られてくる。
バーチャル(インターネット)営業活動
●メリット 地域や時間全く関係なく、インターネットを使う人全てにアピールする機会があるため間口が広い ・必要な情報を十分に載せておくことができる ・SNSなどを使って紹介しやすい、されやすい ●デメリット 顔が見えず不安感が強く、信頼されにくい

このどちらかだけではなく、リアル経由でネットで購入・申し込み、ネット経由でリアルで購入・申し込み、などミックスの場合もありますが、最終的に購入や申し込みをする場面はどちらかになりますよね。
お客様がどの場面から入ってどの場面で決済になるのか、流れに合わせてデメリットをうまくカバーし、メリットを最大限に生かすことで、やはり購入・申し込みの割合が高まってゆくと思います。

営業活動の流れ(プロセス)


最後に「流れ」(プロセス)についてです。
これはリアルでもバーチャル(ネット)でも、新規、紹介、リピート、どの場合でも共通しています。リアルでもネットでも、新規の場合はまずお客さんになる見込みのある人を見つけなくてはいけません。
次に、新規・リピート・紹介×リアル・バーチャルの組み合わせ、全ての種類と場面で同じですが、その「お客さんになる見込みのある人」にとって、あなたの商品やサービスの魅力や利点が金額と同等かそれ以上の価値があると思ってもらえば、購入や申し込みにスムーズに繋がりやすくなりますよね。

この流れを整理すると5つのステップに分かれると言われます。
1.アプローチ・・・話ができるきっかけをつくる、説明できる機会を作る
2.ヒアリング・・・お客さんになる見込みがあるのか、あるなら何が一番欲しいのか、いつ必要なのかなど購入や申し込みの条件を話から聞き出す
3.プレゼンテーション・・・欲しいもの・必要なことに、自分のサービス・商品がどのぐらい役立つか魅力を効果的に伝える
4.クロージング・・・購入や申し込みを決めてもらう
5.フォロー・・・購入や申し込みをしてくれたお客さんをリピートにつなげたり、前回購入や申し込みを見送ったかたにもう一度接触して、購入・申し込みのステップに繋げられるか機会を探す

5つのステップのひとつひとつがうまくなればなるほど、購入や申し込みに繋がると言えると思います。

場面×種類を組み合わせて営業活動の流れを整理する


パターンを整理する

ここまで見てきた、3種類×2場面(新規・リピート・紹介×リアル・バーチャル)の6つのパターンごとに、この5つのステップを整理してみて、あなたの商品、サービスを説明したりアピールする効果的な言葉や言い回し、説明しなければいけない点を整理してみると良いと思います。
手始めに、最初はリピートや紹介は少ない場合が多いと思いますので、まず「新規」のリアルとネットの場合を「流れ(ステップ)」ごとに具体的に整理してゆくところから始めれば良いのではないでしょうか。
書き出して整理してみると要点や流れがつかみやすいと思います。
流れをより自然に調整していく

営業活動のコツは、これをいかに自然な流れでできるかがポイントになると思います。いかにもな話の振りかたや話しかただと、聞いている側がよほどあなたを信頼していて商品やサービスに強く興味を持っているのでなければ、敬遠したくなってしまって、逆効果ですよね。
自然で効果的な流れでステップを進めることを意識してやっているかいないかにかかわらず、うまく購入・申し込みに繋がる場合は、結果的には自然な流れでこうしたことがうまくできているケースも多いのではないでしょうか。
よく販売・営業研修などにある通称ロープレ、ロールプレイングはリアル営業の場面で効果的だから行われているんですよね。自分の事業のリアル営業の場面に合わせて、自分でロープレの流れを整理して作り、実際にやってみると思いのほか役立ちます(笑)。また、ネットの場合は起承転結や画像の使い方、組み合わせなどで、より自然で効果的な流れへと調整していくことができます。
バリエーションを増やして鉄板パターンを作り上げる

特にリアル営業の場面で言えることですが、一番基本的なパターンができたら、バリエーションも考えるといいと思います。(逆に言うと一番基本的なパターンを作ってしまうのがいいと言う事です。)
リアル営業の場合は、自分からものすごく話してくるお客様、事前にすごく調べてきているお客様、信頼できるとわかったら丸投げしたいお客様など、いくつかパターンがあると思いますので、それぞれのケースに合わせた鉄板パターンを見つけていくのも面白いところです。お客様の個性は千差万別ではありますが、やはりいくつかの代表的なパターンで7割ぐらいカバーできるのではないでしょうか。また、そういう実感が経験や自信となって、より難しい(?)お客様にもうまく伝えられるようになったな、と感じる時もまたやりがいのひとつでもありますし、収益にも出てくると思います。
どこで始めるかが決定的に重要

また、場面と種類にあわせた流れを自然にすることのほかに、もう1つ大切なのは、「お客さんになる可能性が高い人が多いところ」でステップを始めるということだと思います。
これは例えば、
・リアルの場合は、お客さんになる可能性が高い人がたくさんいるところをいくつか探してピックアップし、定期的に行くことにしてしまう。
・ネットの場合は、SEO(検索エンジン対策)やブログをうまく使い、検索されやすくしたり、SNSなどで嫌味にならない程度に多くの人に知ってもらうなど、やはりお客さんになる可能性が高い人がたくさんいるところに、入り口を置くようにする。
などがその一例だと思います。
さらに効果的に改善するには

あとは、リアルでもネットでも、場数と、うまくいった場合・いかなかった場合の理由と対策を、できればメモなどで記録しておくと良いと思います。振り返り、修正しながら回数を重ねていくことで、慣れますし、うまく行くパターンを見つけることができるようになります。あなたが仕事自体で上達してきたこれまでの過程も同じだったと思います。個人事業主になるということは、事業に必要な経営や実務のスキルをそれぞれあげて行く必要があるので、他の人に営業活動を頼めない場合は、自分でひとつひとつやっていけばいいのだと思います。
記憶を記録して味方にする

ポイントや流れ、フレーズを書き出しておいて、営業活動をしたら毎回振り返り、できなかったところを修正して、うまく行く方法をなるべく使うようにすれば、必ず少しずつ上達しますよね。行った活動や良かった点、悪かった点もメモしておくと、時間が経って回数を重ねた後にも、より具体的に改善方法を考えられるので、記録しておくのを強くおススメします。ネットの場合はアクセス解析をサイトやブログに設置して、ログを取っておきます。リアルでもネットでも、どちらにも、いわゆるこのPDCAサイクルを使ってみることで、効率的に改善できますしその効果も高くなるので取り入れていきたいですね。

※PDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)・・・事業活動での生産管理や品質管理など、管理業務をスムーズに効果的に行う方法の1つ。 Plan(計画)-> Do(実行)-> Check(評価)-> Act(改善)の 4つの ステップをPDCAPDCA・・・と繰り返していくことで業務を継続して改善する手法。

個人事業主の営業活動のまとめ


いかがでしょうか?
営業活動は得意でも不得意でも、個人事業を続けていく上では「絶対に欠かせないこと」ですよね。

必要としているかたを見つけてうまく自分の事業をアピールできれば、喜んで頂けて売り上げにも繋がりますし、社会に役立つ事業を行っている、というよろこびややりがいにも直結するので、工夫しがいがあるもののひとつだと思います。

筆者もものすごく苦手でしたが、ひとつずつ整理して、ひとつずつ改善したり、自分がお客さん側として気持ちよくお買い物や申し込みができた場面を振り返って言い方や伝え方、アイディアを考えることで、苦手であっても成果がでるようになってきました。

まずはやりやすくて成果も出やすい方法から、また業種にあった方法から取り組んで、まずは成果を体験してはずみをつけていくとやりやすいと思います。同じように苦手意識があるかたの小さなヒントになれば幸いです。