個人事業主の健康保険・年金

個人事業主の健康保険・年金

個人事業主の健康保険

健康保険はいくつか種類がありますが、法律で決まっているため、次のうちのどれかに必ず入らなければいけません。 ・組合健保・・・会社員のみ(個人事業主で作る組合の場合は個人事業主も加入できる) ・協会けんぽ・・・会社員のみ(個人事業主で作る組合の場合は個人事業主も加入できる) ・共済組合・・・公務員のみ ・船員保険・自衛官診療証・・・船員・自衛官のみ ・国民健康保険・・・上記のどれにも加入していない場合に強制加入

個人事業主が入れる健康保険は4つ

さて、個人事業主が入れる健康保険は、以下の4つあります。どれかに必ず入らなければいけません。 (1) 健康保険組合(協会)の任意継続 個人事業主になる前に務めていた会社で健康保険に加入していたなら、退職してから2年間は継続することもできます。退職前に会社が払っていてくれた保険料を全額自分で払います。一度継続を選ぶと、途中で他の健康保険に変えることができません。 (個人事業主になって最初の1年目の収入がさがり、2年目に国民健康保険を選んだら安くなっていたとしても、途中で変えられません。)

(2) 業種ごとの健康保険組合
業種によっては、以下のような組合による健康保険がある場合があります。知り合いに同業の人がいたら一度聞いてみると良いですね。保険料はその組合ごとで変わってきますが、ひとり当たりの保険料が月額固定のケースが多いです。そのため収入が増えてくると国民健康保険より安くすむ場合がありますので、一度確認してみると良いでしょう。

・タクシー・運送
・土木・建築
・医師
・税理士
・文芸・美術関連(フリーランスのデザイナーなども含む)
・廃棄物収集・解体
・船員
などです。

(3) 国民健康保険
すんでいる市区町村で加入します。前年度の収入で保険料が増えたり減ったり年度ごとに変動します。

(4) 両親や配偶者の扶養家族としてその保険に加入する
扶養家族として入っている場合は保険料の負担がありません(国民健康保険以外)。ただし条件があり、年収が130万未満でないと加入ができません。

国民健康保険の入り方


国民健康保険の場合をみてみます。一般的に会社員を辞めて個人事業主になるケースが多いと思いますので、その場合で見てみます。

また国民健康保険に加入する場合は、市区町村によって若干違いますので、会社を辞めると決まった時点で電話をして聞いてみると良いです。(会社の健康保険を辞めてから14日以内に次の健康保険に入らなければいけないため、早めに確認しておくと安心です)

また同業で同じ市区町村の個人事業主の知り合いがいれば、聞いてみておくのもひとつの手です。組合や協会の健康保険の情報をもらえるかもしれません。

●一般的に国民健康保険の申し込みに必要なもの
・印鑑
・「健康保険の資格喪失証明書」を勤めていた会社に言ってもらう
また、源泉徴収票が必要になった場合も、勤めていた会社に言ってもらいます。

●もしも期日までに間に合わなかったり、国民健康保険に入らなかったら
後日、未払いの分を支払うことになります。やむを得ない理由や状況によって税額の減免がある場合もあります。遅れても窓口に行って相談してみましょう。

個人事業主の年金

正社員で勤めた人がもらう厚生年金に比べ、国民年金は40年間支払った場合の満額でも個人なら月に6.5万円ほど(夫婦だと13万円ほど)しかないため、個人事業主の場合は国民年金以外にも年金を用意しないと暮らしていけません。国民年金にプラスして考えたい年金制度についてみてみます。選び方、使い方によって、大きな節税対策にもなりますので、ぜひ活用してみましょう。

【年金】
(1) 国民年金(必須)

(2) 付加年金
国民年金に付加して払うことで受け取る給付が増える、付加的な年金です。国民年金を払っているのが前提のため、付加年金だけを払うことはできません。
かける金額や増える金額は少ないのですが、金利として考えると非常に優れた制度です。

(3) 国民年金基金
60歳以上でも加入できます。

(4) 確定拠出年金(日本版401k)
2001年にスタートした厚生年金、国民年金と同じで政府による年金制度です。非課税で運用できる年金になります。
掛け金、運用益は非課税のため、大きな節税対策にもなります。
国民年金基金との合算額で月々合計68000円までかけることができます。
運用内容はあつかう金融機関によって違いがあります。
60歳までは運用しなければいけない決まりがあり、受け取ることができませんが、60歳を過ぎて受け取るときにも、税金の優遇措置があります。

(5)小規模企業共済
小規模事業主、個人事業主向けの、国による退職金積み立て制度です。
納付月数が12ヶ月未満だと掛け捨てになり、加入期間が20年未満で解約の場合は元本割れしますが、20年以上積み立てていれば掛け金に対して100%以上受け取ることができます。
また、掛け金はすべて所得控除の対象となり、受け取る時にも所得控除が受けられます。

【その他】
また、年金制度ではありませんが、個人事業主が年金の一部としても使える共済があります。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)です。

1年以上経営している中小企業(個人事業主も含まれています)が加入できる公的な共済制度です。
掛け金は月に5000円から5000円単位で最大20万円までかけることができ、総額で800万円を上限に積み立てることができます。
40ヶ月(3年4ヶ月)以上掛け金の積み立てをしていれば、100%の解約手当金を受け取ることができます。受け取ったお金には税金がかかります。

個人事業主の健康保険・年金のまとめ


いかがでしょうか?個人事業主の保険や年金は、サラリーマンやフルタイムの派遣・パートで働いていたときと違って、自分でいろいろな手続きをしなければいけません。仕組みがかなり変わりますので、しっかり把握する必要がありますね。