経理

経理

個人事業主として開業して困ること、わからないことのひとつに経理があると思います。

経理の目的は、事業の経営の仕方や改善点を確認する資料にすることと、税金を納めるための計算を正確に行うためのふたつが主要な目的になると思います。

個人事業主の場合は、確定申告で1年間の収支が確定するので、確定申告に合わせて、1年間のお金の出入りを正確に記録していき、最後に税金を申告して納める、という流れになります。

そのために必要なものと作業を確認してみましょう。白色申告の場合はもっと単純ですが、「開業準備」の経理でも触れたように、青色申告が多いと思いますので、ここでは青色申告の場合で考えてみたいと思います。

個人事業主の経理に必要なもの


個人事業主の経理に必要なものは次のとおりです

1)パソコンと会計用ソフト(買いきりのものでもクラウドでも)
2) レシート、領収書などを保存しておく入れ物(ファイルでも箱でも封筒でも引き出しでもとりあえずは何でもOK)
  手書きの場合は出金伝票・入金伝票(文房具店や文具売り場にあります)

1)のパソコンと会計用ソフトは、なければ経理用のノートやエクセルなどの表計算ソフトで自作しても良いと思いますが、なかなか面倒です。ソフトは1万円ほどから、クラウド会計ソフトではごくごく単純なものなら無料からあり、多少増えても月1000円もかからず、入力もしやすいうえ、インターネットバンキングを使っている場合、そのデータを自動で取り込んでくれたりとかなり手間が省け、間違いも減りやすくなるので断然おすすめです。

経理で必要な作業


上で書いたように確定申告に必要なのが、お金の出入りを記録すること、そのお金の出入りを証明するもの(レシート、領収書、どうしてもそれが用意できない場合は自分で出金伝票を書いたりソフトに入力して記録を残します)を残すことです。

確定申告は年に1回ですが、その間のお金の出入りは多いため、それをしやすくするため、毎月ごとにお金の出入りを記録しておきます。さらに、月ごとでは作業が多すぎるため、お金の出入りが極端に少ない場合なら週ごとでもいいかもしれませんが、お店など毎日のお金の出入りが多い場合はもちろん、記録を溜めないように基本的に毎日お金の出入りを記録するほうが良いです。

つまり、経理で必要な作業は、
・年ごと
・月ごと
・週ごと、または毎日
といった期間ごとに必要な作業があると考えておくケースが一般的です。
次に、この期間ごとに必要な作業を確認してみましょう。

毎日(毎週)の作業


1)まずは、事業用に使った経費を証明するもの(レシート、領収書など)をなくさないように専用の場所を決めて、保管します。ファイリングが理想的ですが、数がごく少なければ封筒や箱などに月ごとにまとめておくのでも良いと思います。なくさず、後から探しやすければ何でも良いと思います。

2)経理用のソフトやノートを使って、入金と出金を記録します。備考の欄に何に使ったのか、何の目的なのか、など詳しい内容を記録しておきます。ひと手間増えますが、レシート等にもちょこっとメモしておくと突合せの時に判りやすく手間が省けるのでとても便利です。

青色申告の場合、こうした資料を5年から7年間(書類によって期限が違います)保管しておく義務があるので、例えば7年後に税務調査が入って質問された場合、その経理書類や証憑(しょうひょう)書類を見て何の目的に使ったのかすぐ判るようにしておく必要があります。

※証憑(しょうひょう)書類・・・お金の取引に関して、相手から受領した書類、自分で作成した書類。注文書、契約書、送り状、見積書、請求書、領収書、レシート、自分の控え、など。

この2つを毎日します。細かいことは忘れてしまうものなので、溜めないように、少なくとも週ごとにはやっておくようにすると良いでしょう。後から、何のお金だったか・・・と、手帳を見たり申し込み書類やレシートを確認しながら入力や記載すると余計に時間がかかるものなので、記憶がクリアなうちにやってしまいましょう。

・事業用の経費にできるかどうかは、目的によります。本やネットで調べてみたり、どうしても不明なものは、確定申告の時に税務署に相談できるので、ふせんなどをつけておいてそのときに相談しても良いと思います。地域の青色申告会などに入会すると教えてもらえる制度もありますので、利用してみるのもいいと思います。

・取引先へのお祝い金など、領収書がどうしても用意できないものなどは、もらった案内状などと一緒に、出金伝票を作って記録しておきます。

月ごとの作業


毎月最後にその月の収支をまとめてしめます。記載忘れなどもないか確認しましょう。

年ごとの作業(確定申告)


個人事業主の年度は業種などに関わらず1/1~12/31と決まっています。12/31を過ぎたら〆て、2/16から3/15の間に確定申告をします。

確定申告のやりかたはいくつかあります。
・国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」から入力(無料)してプリントアウトし、提出する
・送付されてきていたり、もらいに行ったりして確定申告書用紙に手書きで記入して提出する
・会計ソフトで作成して提出する
・確定申告だけ、税理士に依頼する

提出の方法は、直接税務署にもって行って提出する方法と、郵送、e-Taxでの電子申告の3種類があります。

注意点がいくつかあります。e-Taxは事前に届け出の提出など手続きが必要です。また確定申告だけ依頼できる税理士事務所もいくつもありますが、直前では無理な場合がほとんどなので、早めに決めて依頼するようにしましょう。

またその年度の経理書類は年度ごとにまとめて保管しておくと良いでしょう。

税金の控除


青色申告控除


個人事業主は白色申告か青色申告どちらかで税金を申告しなければいけません。青色申告を選び、期限内に申告した場合は青色申告控除を65万円まで受けることができます。

また基礎控除が38万円あり、それにプラスして青色申告控除65万円なので、合計103万円まで所得税が発生しません。
2014年1月から白色申告でも記帳が義務付けられたので、青色申告をするメリットはとても大きいでしょう。

扶養控除


扶養控除について

特に主婦・主夫で個人事業を始め、会社員のパートナーの扶養控除(所得に対する税金の控除)を受ける場合などに、判断が必要になるかと思います。主な2種類についてみておきたいと思います。

(1) 配偶者控除 38万円
個人事業主の1年間(1~12月)の利益(収益-費用=利益)が38万以下の場合、会社員をしている配偶者の所得のうち38万円分に税金がかかりません。

(2) 国民健康保険料
個人事業主の利益が年間で130万円までなら、配偶者の勤める会社の健康保険に加入することができ、勤めている配偶者の保険料もかわらないため、優遇される制度になっています。

個人事業主の経理のまとめ


いかがでしたでしょうか?個人事業主が自分自身で経理をやる場合は特に、手順などを覚えて習慣になるまでは、なかなか大変な面もあるかもしれませんが、避けては通れない作業ですし、節税にも繋がりますので、効率的に処理してゆけるようにしたいですね。